松竹図屏風 長谷川等伯

作品名:松竹図屏風

員数:2曲1隻

技法1:日本画

技法2:紙本墨画

作者:長谷川等伯(1539〜1610)

制作年代:桃山時代

法量(cm):縦160.0 横240.0

指定:石川県指定有形文化財

 

 本図は「猿猴図屏風」と共に修復され、平成27年に「等伯の真筆水墨画新発見」として発表された作品である。「猿猴図屏風」と同じく七尾市が購入し、同年特別公開した。
 本図は画面左扇の左端から右上方に向って大きな松樹が覗き、右扇の右端まで緩やかなカーブを描いて枝を伸ばす。下部には土坡が描かれ、左扇松の後方から孟宗竹が茂り右扇へと続いていく。濃墨を効かせながら淡墨と巧みに描き分け、遠近感を表す。右扇に行く程淡墨で消えゆくように描かれた部分を、北春千代氏は「靄のかかったような叙情感を誘う表現が意図されている」と述べられた。
 老松の樹皮は、「老松図襖」(京都市・金地院)の樹皮の表現と酷似し、「烏鷺図屏風」(DIC川村記念美術館)の、左隻松樹の樹皮表現へと繋がっていく。さらに、竹の節と節との間の稈に、横に濃い墨を2筆入れる独特の表現や、墨の濃淡によって風になびく葉叢を巧みに表現した部分は、「竹鶴図屏風」「竹虎図屏風」(何れも出光美術館)と酷似する。「竹鶴図屏風」のメリハリの利いた墨の濃淡表現や、一気に引いた迷いのない幹の線などは、「松林図屏風」に最も近いと評価されるが、本図は墨の艶といい調子といい筆法といい、その「竹鶴図屏風」と極めて近く、注目に値する。
 本図の制作年については、「猿猴図屏風」と若干ずれるとの見方もあるが、墨色や筆の勢いなどを見る中では、「猿猴図屏風」と近い、50歳代後半頃の制作ではないかと解される。
 なお、「猿猴図屏風」と同じく各扇中央に縦の変色が見られ、本図も6曲屏風の4扇分で、本来は左右にもう1扇ずつあったと考えられる。現状でも迫力があるが、制作当初はさらに広がりが感じられる秀作であったと思われる。