2025長谷川等伯展~帰ってきた国宝・松林図屏風~

開館30周年記念・震災復興祈念

長谷川等伯展 ~帰ってきた国宝・松林図屏風~

長谷川等伯(1539~1610)は能登七尾出身で、桃山時代に京都で活躍した日本を代表する画家です。20歳代には絵仏師として能登で活躍、30歳代には活動の舞台を京都へ移し、長谷川一派を率いて狩野派に対抗し、豊臣秀吉の御用や大寺院の障壁画制作などを手掛けて活躍しました。

当館は等伯出身地の美術館として毎年シリーズで「長谷川等伯展」を開催、今回で29回を数えます。平成17年の開館10周年「国宝・松林図屏風 長谷川等伯展」では、約6万人都市で約5万7,000人の観覧者を記録しました。

それから20年、開館30周年を迎えます。ふたたび、日本水墨画の最高傑作である「松林図屏風」の公開に向け、所蔵先の東京国立博物館や寺院などからご内諾をいただいていたところ、能登半島地震に見舞われました。いつ開館できるか予測できない状況下でも、多くの関係者から励ましの言葉をいただきました。

そこで、大地震の中で奇跡的に救出された作品や被災寺院所蔵の能登時代作品を加え、《能登時代の長谷川等伯》《松林図を中心とする水墨画の表現》《晩年水墨画への展開》の3テーマで19点の公開に向け、再び歩み始めました。全国から多くの人が能登に訪れ、また、少しでも能登の人々に元気と感動を届けられたら幸いです。能登を愛した等伯も、きっと喜んでくれることでしょう。


●展覧会チラシ[PDF]

会期 2025年9月20日(土)~10月16日(木)
開館時間 9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 9月30日(火)、10月7日(火)、10月14日(火)
観覧料 ・一般1,000円(900円)
・大学生350円(300円)
・高校生以下無料
※( )は20名以上の団体料金・前売り料金
※「国民の祝日」は70歳以上の方は団体料金になります。受付にて年齢確認ができるもの(保険証・運転免許証など)をご提示ください。
※障がい者手帳をお持ちの方と、付き添いの方1名様まで無料になります。 (ミライロIDも可)
※大学生・専門学生・高校生の方は学生証を受付でご提示ください。
前売り券 販売期間:2025年7月14日(月)~9月19日(金)
ローソン・ミニストップ、ファミリーマート、セブン-イレブンで取り扱い
( JTB商品番号:0266829 )
主催 石川県七尾美術館[公益財団法人七尾美術財団]
特別協力 東京国立博物館
協力 北國新聞社
後援 石川県、石川県教育委員会、七尾市教育委員会、NHK金沢放送局、MRO北陸放送、石川テレビ放送、テレビ金沢、HAB北陸朝日放送、エフエム石川、ラジオななお、北陸中日新聞、朝日新聞金沢総局、読売新聞北陸支社、毎日新聞金沢支局

《テーマ1》「能登時代の長谷川等伯」

能登国・七尾で武士の子として生まれた等伯は、染物業を営んでいた長谷川家へ養子入りし、はじめは「信春」と名乗り絵仏師として活躍していました。養父である宗清も絵仏師として活躍をしており、等伯はそういった環境の中で画業を磨いていったと考えられます。

当時の七尾は能登畠山氏七代・畠山義総の治世にあり、文化人でもあった義総の下で「能登畠山文化」が花開きました。等伯もその恩恵を受け、若い頃から京都を往来し、良質な絵の具や流行の技術を持ち帰っていたと考えられています。

本テーマでは令和6年能登半島地震で被災した寺院から奇跡的に助け出された作品も含めた、若き信春時代の色彩豊かな仏画を中心にご覧ください。


《テーマ2》「松林図を中心とする水墨画の表現」

等伯が京都へと本格的に移住をしたのは33歳頃と言われています。初めは狩野派に学んだ形跡がありますが、やがて独立し、長谷川派を立ち上げ狩野派に対抗していきます。千利休や本法寺の日通上人、大徳寺の春屋宗園といった有力者と交流を持ち、その過程で中国・日本の様々な名作を見る機会を得たとされます。

特に中国南宋時代の画僧・牧谿に私淑したと言われ、50歳代を中心にその影響を受けた水墨画作品を描いています。墨の濃淡を活かした巧みな筆さばきで、対象のみならず周りの空気感までも描こうとする等伯の水墨画は、日本水墨画の最高傑作と名高い国宝「松林図屏風」へと昇華します。

本テーマでは当館での公開は20年ぶりとなる国宝「松林図屏風」をはじめ、円熟期の水墨画の名作をご覧いただきます。


《テーマ3》「晩年水墨画への展開」

天下人・豊臣秀吉の御用を受ける一方、良き理解者であった千利休や後継者として期待を寄せていた長男・久蔵の死という悲しみにも直面した等伯。それでもなお、牧谿のみならず様々な画家・流派の作品に触れ、新たな表現を試みていきます。

本テーマでは主に60歳代以降に描かれた水墨画の大作をご覧ください。


~展示作品の一部をご紹介~

⦿「松林図屏風」(右隻) 長谷川等伯筆
桃山時代(16世紀)制作
東京国立博物館蔵

撮影:野久保 雅嗣

◎「老松図襖」長谷川等伯筆
桃山時代(16世紀)
京都市・金地院蔵

「松に鴉・柳に白鷺図屏風」(右隻) 長谷川等伯筆
桃山時代(16世紀)
東京・出光美術館蔵

◎「禅宗祖師図襖」(16面のうち2面) 長谷川等伯筆
桃山時代(16世紀)
京都市・天授庵蔵

□「仏涅槃図」長谷川信春(等伯)筆
永禄11年(1568)
羽咋市・妙成寺蔵

△「日蓮聖人像」長谷川信春(等伯)筆
室町時代(16世紀)
珠洲市・本住寺蔵

△「日蓮聖人坐像」長谷川信春(等伯)彩色寄進
永禄7年(1564)
七尾市・本延寺蔵

※⦿…国宝、◎…国指定重要文化財、□…石川県指定有形文化財、△…市町村指定有形文化財
※出品作品は変更になる場合があります。


~関連イベントの紹介~

スペシャル座談会【聴講無料】 [終了しました]

日時 9月21日(日) 14時~16時
会場 当館アートホール
定員 200名
(当日13時30分より整理券配布)
パネリスト 安部龍太郎 氏(『等伯』直木賞作家)
松嶋雅人 氏(東京国立博物館 学芸企画部長)
東四柳史明(当館館長)
北原洋子(司会・当館学芸員)

安部 龍太郎 氏
『等伯』直木賞作家

1955年福岡県八女市(旧・黒木町)生まれ。久留米工業高等専門学校機械工学科卒業。東京都大田区役所に勤務、図書館司書を務め、1990年に発表した『血の日本史』でデビュー。2005年『天馬、翔ける』で第11回中山義秀文学賞、2013年『等伯』で第148回直木賞を受賞。『家康』『ふりさけ見れば』など著書多数。

松嶋 雅人 氏
東京国立博物館 学芸企画部長

1966年大阪市生まれ。金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科卒業、同大学大学院修士課程修了。東京藝術大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。1998年12月より東京国立博物館に勤務。現在、同館学芸企画部長。専門は日本近世から近代にかけての絵画史。著書は、『あやしい美人画』(東京美術)、『細田守 ミライをひらく創作のひみつ』(美術出版社)、『蔦屋重三郎と浮世絵 「歌麿美人」の謎を解く』(NHK出版)など。展覧会企画は、「没後400年長谷川等伯」( 東京国立博物館・京都国立博物館、2010年)、「俺たちの国芳 わたしの国貞」(Bunkamura ザ・ミュージアム、2016年ほか)、「マルセル・デュシャンと⽇本美術」(東京国立博物館、2018年)、「横尾忠則 寒山百得展」(東京国立博物館、2023年・横尾忠則現代美術館、2024年)、「本阿弥光悦の大宇宙」(東京国立博物館、2024年)、「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」(東京国立博物館、2025年)など多数担当。2025年NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の近世美術史を監修。

東四柳 史明
当館館長

1948年石川県穴水町生まれ。國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程単位取得満期退学。北陸の中世史と能登守護畠山氏の研究者。2010~15年の「長谷川等伯ふるさと調査」(主催:北國新聞社)では副団長を務めた。金沢学院大学名誉教授。能登文化財保護連絡協議会会長。2025年6月より石川県七尾美術館館長に就任。


等伯七美講座【聴講無料】《要予約》

日時 ①9月28日(日)
14:00~15:00 [満員]
「京都での人脈と作品の変遷」
②10月5日(日)
《第1部》14:00~15:00 [満員]
《第2部》15:15~16:15 [余裕あり]
「出品作品の魅力」
③10月11日(土)
14:00~15:00[残りわずか]
「長谷川信春とその時代」
会場 当館アートホール楽屋
定員 各回20名
※定員に達し次第締め切ります。
講師 ①9月28日(日) 北原洋子 (当館学芸員)
②10月5日(日) 河野喬紀 (当館学芸員)
③10月11日(土) 東四柳史明 (当館館長)

 

《申込方法》

  • 9月2日(火) 9:00より電話にて受付を開始します。受付は先着順、開催日前日までとなります。
  • 参加されるお客様の「参加希望日・お名前・お電話番号」をお伝えください。
  • 一回のお申し込みで、3名様までとさせていただきます。

イベント当日は、13時15分より当館アートホール前にて受付内容を確認後、楽屋へご案内いたします。

※参加希望日・予約内容などに変更がございましたらご連絡ください。
※キャンセルされる場合は前日までにご連絡をお願いいたします。
※お預かりしました個人情報は、本件に係る業務以外に使用いたしません。

※やむを得ずイベント内容に変更が生じる場合があります。


映像コンテンツ

『8K×国宝 いま見つめる「松林図屏風」』

写真提供:NHK

「ひと、能登、アート。」映像事業として、8Kデジタル化された「松林図屏風」をめぐる著名人のトークや、その不思議な魅力に迫る映像(約25分)を当館アートホールにて上映いたします。

※団体解説時などは一時的に音量を下げさせていただきますのでご了承ください

上映期間 2025年9月23日(火)~10月16日(木)
会場 当館アートホール
映像制作 東京国立博物館・NHK金沢放送局

■注意事項

  • 本展覧会中は大変混雑する事が予想されます。チケットを購入してから展示室内に入るまでお待ちいただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
  • 駐車スペースには限りがございますので、当日はご可能な限りお車の乗り合わせ、公共交通機関をご利用の上ご来館いただけますと幸いです。駐車場をご利用の場合、誘導員の指示に従ってください。
  • 展示室内は撮影禁止となっております。
  • 展示室内での解説は原則行いません。団体鑑賞での解説をご希望の方は、当館アートホールなどで見どころ紹介を行いますので、事前にご相談ください。
    ※他団体の予約状況などでご希望に沿えない場合がございます。
  • 当日の団体鑑賞の予定や混雑状況については当館公式Xでもお知らせいたします。